恋の押し問答

2008.10.17.UP.

山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり (春道列樹)
やまがはに かぜのかけたる しがらみは ながれもあへぬ もみぢなりけり

訳:山川の谷川に、風が仕掛けたしがらみとは、流れようとして流れきれない紅葉だったのだなあ。

「山川」、これは「やまがわ」ちゅうて読み申して、「やまかわ」ちゅうて読まはると「山と川」の意味になるんだす。
「しがらみ」は、水流をせき止める目的で、川に杭を打って柴や竹を結びつけた物。

この和歌の「山川」ちゅうんは「志賀の山越え」におましたそ〜で…。
ここは、京都の北白川から登って、瓜生山〜如意岳〜近江の志賀の里へ抜ける山道の事でんねん。

エッ?
「よ〜わからへん。」ってだっか?

京都から滋賀県の大津に抜ける山道のこっちゃがな〜。
この道は、京のお人はん方が志賀寺(崇福寺)にお参りしはる時の参道だした。
しかし、平安の終わりには寺の廃絶で、参道もなくなってまい「幻の道」になったそ〜だっせ。

ま〜そ〜ゆ〜事で、本題に入り申すと…。

この和歌は「Aって何かいな?! ちゅうて思〜たらBだしたで〜」ちゅう形になってま。
ほんでこの技法は…。
他人はんが思いつかんよ〜な内容や表現を「A」と「B」に持って来るんが、ヘヘヘ、作者はんの手腕やちゅうこっちゃ。

行く水に 数書くよりも はかなきは 思はぬ人を 思ふなりけり

訳:行く川の流れに数を書くよりも、もっとはかないモノは何かと思ったら、それは自分を思ってくれない人を自分が愛する事であったよ。

この和歌も「Aって何かいな?! ちゅうて思〜たらBだしたで〜」ちゅう形になってま。
こないな形式の和歌は「古今集」の時代に、よ〜詠まれてまんねん。

ナンか、落語の「〜と掛けて、〜と解く。その心は云々。」ちゅうのに似てまんな〜。
ところ〜で…。
この和歌を引用したからだっしゃろ〜か?

今回のこのサイトの和歌…。
山川に 風のかけたる しがらみは 流れもあへぬ 紅葉なりけり
この歌は、単に紅葉の美しさを描写しただけの歌やおまへんちゅうて、わては思いまんねん。

エッ?
「それは何や?!」ってだっか?

気がつき申したら、その人を愛してしも〜てて…。
自分が苦しゅ〜なって告白しと〜なって…。
しかし、自分の事を思〜てくれてへんかもしれへん?!
しかし、自分の心の内を告白したい!!

そないな恋心の独り相撲…、押し問答…。
人を愛する気持ちは、紅葉のよ〜に深紅に美しおます。
しかし、そないな美しい気持ちも…、この川に見る流れよ〜として流れ切れん、この紅葉のよ〜に止まったまま…。
もし、ナンかの拍子に流れ申したら…、さらにさらに…、美しく燃えるちゅうのに…。
この恋に、あんさんを絶対に失望ささんちゅうのに…!!

そないな、恋の躊躇の意味が込められと〜よ〜に、わては思いまんねや。
みなはんは、どないだっか?
そない思えまへんか?

上林岳承

総合開運研究学会
上林岳承

運命鑑定/プロ養成占い教室
daikando@sd5.so-net.ne.jp


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