固定観念

2008.1.29.UP.

奥山に 紅葉踏みわけ 鳴く鹿の 声きく時ぞ 秋は悲しき (猿丸大夫)
おくやまに もみぢふみわけ なくしかの こゑきくときぞ あきはかなしき

訳:奥山に散り敷いた紅葉を踏みわけ、雌鹿を求めて鳴く雄鹿の声を聞く時、秋はひときわ悲しいものと身にしみて感じられる。

ここで、「紅葉踏みわけ」「わけ」…。
鹿が踏みわけて歩いとんのか? 人が踏みわけて歩いとんのか?
訳の説が分かれと〜らしい。
わては、作者が鹿に感情移入しとんのだっから、どっちゃでもエエと思〜てま。

それより、鹿がホンマに鳴きまんのんか?!
わて、まだ聞いた事おまへんで〜。

この和歌の鹿は雄鹿だして…。
聞くところにより申すと、雄鹿は秋になると、雌鹿を求めて鳴くんやそ〜だす。

エッ?
「鹿はナンて鳴くんや?」ってだっか?!

「ヒョー」ちゅうて鳴くそ〜だっせ。

エッ?
「ウソやろ。」ってだっか?

ほんだら、古今和歌集のこの和歌をどんぞ!

秋の野に つまなき鹿の 年を経て なぞわが恋の かひよとぞ鳴く

訳:秋の野原に結婚した事のない鹿が、何年も一人ぼっちでいて、私の恋は甲斐もなかったと悲しげに鳴いている。

この和歌には「かひよ」ちゅう掛詞がおまして…。
「甲斐よ」と「ひよ」に掛けてまんねん。

この「ひよ」ちゅうのは、雄鹿の鳴き声でんねん!
昔の人は、ヘヘヘ、粋でんな〜!!

エッ?
「鹿の鳴き声はどんなんかはわかったけど、何で秋の山奥で鹿の鳴き声を聞いて淋しなりまんねん?! 昔やったら、その鹿を捕まえて食べたらおいしいし、秋は収穫の秋で祭りもあって淋しいどころか楽しいんと違ゃいまんのか?!」ってだっか?

あんさんな〜、それは貴族でおまへん一般大衆の人々の風潮でんねんで〜。
中国に「千花百草凋落之後(せんかひゃくそうちょうらくののち)」ちゅう古い漢詩がおまして…。
杜甫が「老いゆけば秋し悲しき」ちゅうて詠まはったんだす。

秋は花や草木が枯れ落ちる季節。
秋は老いを感じさせる季節。
老いはやがて死をもたらす。
そやから悲しい。

ちゅうのが中国の昔の人の感じ方だしたんや。
日本の貴族はん方も、中国の書物から影響を受けはって、そない思〜たはったちゅうこっちゃ。
鹿は「うまい」でも「かわいい」でもの〜て、ただ「悲しい」ちゅうて詠むんが平安貴族の和歌の伝統だしたんだすな〜。

そやけど、これは固定観念ちゅうモンでんねん。
そ〜ゆ〜事で…。
今回のテーマは「固定観念」。

みなはん、固定観念で他人はんを評価したり見たりしたはりまへんか?

わて、旧い人間やちゅうて言われるかもしれまへんけど…。
シャツをズボンの外に出すちゅうファッション、嫌いでんねん。

エッ?
「岳承はん、シャツをズボンの中に入れてまんのん? オジン臭〜!」ってだっか?!

それを「固定観念」ちゅうんだす。
あんさん、昔の日本を知ったはりまへんな〜。
昔、夏、いわゆるオジンの人種はんらは、シャツをズボンの外に出したはりましてんで〜。
映画なんかで見はりまへんか?
そやのに、シャツを入れたファッションを「オジン臭〜!」ちゅうて言われるんに「?」を感じまんな〜。

数年前だしたか…。
ユニクロの店ん中のポスターで、「シャツを入れと〜人」と「シャツを出しと〜人」が載ったはったんだす。
わては、一目見て、「シャツを入れと〜人」をカッコエエちゅうて感じましてん。
ほんで、歳も「シャツを出しと〜人」に比べて、年輩やのに、凄おますな〜! ちゅう事で、そのモデルはんの顔を次に見申したら…?!
見たらだっせ!
ナナナンと!

矢沢永吉はんだしたんや!!

わて、顔を見てからそない思〜たんやったら…。
「矢沢永吉はんはカッコエエ!」ちゅう「固定観念」から、そない言〜たんかもしれまへん。
そやけど、顔を見る前にシルエットだけでカッコエエちゅうて思〜たんだす。
足も、「シャツを出しと〜人」に比べたら短かおますのに…。
やっぱり、ファッションや「固定観念」やの〜て、「着る人」やちゅうこっちゃ。

わて、若い頃、ベルトのオシャレをしてましてん、今でもだっけど…。
そ〜ゆ〜事もおまして、わて、「シャツを出したファッション」は絶対にしまへんねん。

そやけど、ヘヘヘ…。
気が早おまっけど、夏が今年も来ま!!
そないなったら、女子(おなご)はん方、「ゆかた」の季節でんな〜。
女子(おなご)はん方、エエ「ゆかた」を着て、この夏をエンジョイしておくんなはれや〜!

この夏、そないな「ゆかた美人」はんを密かに見初めはった殿方はん、相性のご依頼、待ってまっせ〜!

上林岳承

総合開運研究学会
上林岳承

運命鑑定/プロ養成占い教室
daikando@sd5.so-net.ne.jp


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