やさしい!

2009.11.23.UP.

有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする (大弐三位)
ありまやま ゐなのささはら かぜふけば いでそよひとを わすれやはする

訳:有馬山の麓の猪名の笹原に風がわたると笹の葉がそよそよと音をたてる。さあそれですよ! あなたの方が私の事を忘れたのでしょう。私が忘れるはずはないじゃありませんか。

「有馬山」は、神戸市北区有馬町におます山。
有馬温泉で有名だっせ。
「猪名」は、尼崎市猪名川町付近の平地。
京から有馬へ行く途中におます。
「そよ」は、笹の葉の音の「そよそよ」に、「それですよ」の意を掛けておます。

この歌の作者はんは、紫式部はんの1人娘、大弐三位(だいにのさんみ)はん…。(母の式部とともに一条院中宮彰子に仕え、越後の弁と呼ばれた。藤原兼隆の妻となり、後冷泉院の乳母(めのと)となる。ノチに高階成章の妻となって、大弐三位あるいは藤三位とも呼ばれた。)
つまり、藤原賢子(かたこ)はんが詠まはった歌だして…。
「後撰和歌集」の詞書には「離れ離れ(かれがれ)なる男の、おぼつかなくなど言ひたるに詠める」ちゅうておます。

つまり…。
あんまり通よ〜て来んよ〜になった男が(離れ離れなる男の)、「あんさんは浮気をしとんかいな? ちゅうて思うと気がかりでんねん。」などと言〜て来たんで詠まはった(おぼつかなくなど言ひたるに詠める)歌…。
こ〜ゆ〜事でんねん。

私が浮気してるって?!
あなたが逢いに来んだけでしょ!!
そやのにこれ、ど〜ゆ〜事なの?!!

こない思わはって詠まはったちゅうこっちゃ。

「いでそよ人を 忘れやはする」…。
男の言〜た「あんさんは浮気をしとんかいな? ちゅうて思うと気がかりでんねん。」ちゅう台詞に、「さあそれですよ! あなたの方が私の事を忘れたのでしょう。私が忘れるはずはないじゃありませんか。」ちゅうて切り返しはったちゅうこっちゃ。

そやけど、みなはん!
この語気の強い切り返しの言葉のアトに…。

でも…。
強がり言〜たけど、私…。
あなたから離れると淋しいわ!

こないな言葉が続くよ〜な、余韻を感じはりまへんか?!
やさしい女子(おなご)はんの心内…。
よろしおまんな〜!

ところ〜で…。

わての大学時代…。
わて、当時の彼女とトラブっても〜て…。(毎度のこっちゃけど…)
冷戦期間の3日メ。

講義受講中…。
一番前の席で、受講しとった彼女の女友だちはんが…。
一番後ろで受講しと〜わてんとこへ来て、横に座りはりまんのや。
ほんで…。
一枚の紙っきれをわてにわたしはるんだす。

「????」

その紙っきれには、わての冷戦中の彼女からのメッセージ!!
その紙っきれには?!

大キライ!

ちゅうて書いておましてん。
キライはわかっとるわい!!

そやから…。
その紙っきれの裏に…。

あした、一緒に映画に行こう。
ほんで、俺をもっと「大キライ」になれよな!!

そない書いて、その女子(おなご)はんに持たしたんだす。
元の席に戻って、わての彼女に、そのメッセージを見せはったら…。
そのメッセージを見た、わての冷戦中の彼女…?!
そのスリムな肩を震わせて…、ヘヘヘ、笑ろ〜てまんねん。
これで一件落着!!
こないな仲直り…、イイんじゃ〜ないですか?!

当時のわての彼女の…。

大キライ!

その台詞のアトに…。
「大好きよ! だからね…、も〜仲直りしましょ!!」ちゅうて…。
続いてるんが感じられ申した。
これも…、イイんじゃ〜ないですか?!

巻頭の和歌…。
この和歌と全然、その背景と事情は違ゃいまんねんけど…。
ナンか当時のわての喜びを思い出しまんねん。
当時の彼女のやさしさが思い出されまんねん。

愛しと〜女子(おなご)はんのやさしさに触れた時。
愛しと〜女子(おなご)はんに許された時。
神聖な気持ちで…。
「嗚呼…、この人を愛してよかった!!」ちゅうて思うんは、わてだけだっしゃろ〜か?

人を…。
いや、愛する人を許す気持ち。
そ〜ゆ〜、やさしい気持ちは持って生まれたモンやちゅうて、わては最近、思い始め申した。
どの女子(おなご)はんにも、そ〜ゆ〜心があるちゅうモンやおまへんさかいな〜。

わては若年に、たまたま、そないなエエ女子(おなご)はんと縁を持てただけのこっちゃ。
この世の女子(おなご)はんみなが、そないな女子(おなご)はんやちゅうて、この歳まで錯覚しとったわてが…。
ヘヘヘ、おメデタイ人間やったちゅう…。
そ〜ゆ〜事でんねん。

上林岳承

総合開運研究学会
上林岳承

運命鑑定/プロ養成占い教室
daikando@sd5.so-net.ne.jp


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