地動説

2008.2.10.UP.

鵲の わたせる橋に おく霜の 白きを見れば 夜もふけにける (中納言家持)
かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よもふけにける

訳:鵲が翼をつらねて天の川にわたしたという橋、そこに真っ白な霜が降りているのを見ると、もう夜はすっかりふけてしまったのだなあ。

「鵲の わたせる橋」ちゅうんは、七夕の夜、鵲が羽を連ねて橋を造り、織姫を牽牛のもとにわたすちゅう中国の伝説だして…。
我が国では、江戸時代、賀茂真淵はんがこれを「宮中の階段」って考えはったんだす。
以後、それが定説になり申した。

エッ?
「『宮中の階段』ちゅうよりも、『七夕の夜の天の川に掛かる伝説の橋』の方がロマンチックや。」ってだっか?

そ〜でんな〜。
わてもそない思いま!
今のクリスマス・イブのよ〜なロマンチックな夜が、昔の七夕だっからな〜。

そやけど、この和歌、そ〜ゆ〜ロマンチック云々やなしに、「七夕の夜の天の川に掛かる伝説の橋」か「宮中の階段」かで解釈が違ご〜てきまんねん。

「鵲の わたせる橋」が「七夕の夜の天の川に掛かる伝説の橋」ちゅう事だしたら、これは天上の夜を詠んだ和歌になり申す。
すなわち「天上説」。
「鵲の わたせる橋」を「宮中の階段」ちゅう事にすると、これは地上の夜を詠んだ和歌になり申す。
すなわち「地上説」。

わては、冬よりも夏が好きだっから、クリスマスよりも七夕が好きでんねん。
そやさかい、七夕をイメージした「天上説」を取りと〜おますな〜。

ほんでわての勝手な解釈でんねんけど…。
作者が若し頃の七夕の夜のロマンスを天の川を見上げつつ想い返し…。
「嗚呼…。若し頃はよかったな〜。」ちゅうて微笑んど〜光景。

これは「夜もふけにける」「ふけ」を「更ける」と「老ける」の掛詞で表現しとんやと…。
マセとったわては、高校時代、古典の授業で思〜とったんだす。
そ〜ゆ〜意味でも、「鵲の わたせる橋」は「七夕の夜の天の川に掛かる伝説の橋」ちゅう事で「天上説」であって欲しおますな〜。

わて、理科系だしてんけど、ホ〜ンマ古典が好きだしてん。
だって、昔の人の表現ちゅうたら粋だっからな〜。

ちゅう事で…。
今回のテーマは「地動説」。
「地上説」やおまへんで〜、「地動説」だっせ。

四柱推命ちゅうんは、みなはんご存知の通り「生年」「生月」「生日」「生時」の4つの柱を、それぞれ「十干十二支」で、つまり「干支(かんし)」で表して占う占術だす。
そやさかい「四柱推命」ちゅうんだす。

暦を見てもろ〜たらわかりまっけど…。
今年と来年の「干支(かんし)」は違いま。
今月と来月の「干支(かんし)」も違いま。
本日とあしたの「干支(かんし)」も違いま。
現時間を15時としたら、2時間後の「干支(かんし)」も違いま。

こ〜ゆ〜諷に、四柱推命はデジタルな占術でんねん。

そやさかいに四柱推命で未来予知をした場合、○年○月○日〜△年△月△日に起こるちゅうて日付を切って回答でけまんねん。
時には「この日」に起こるちゅうて限定もでけま。

ところ〜で、四柱推命のある御仁が「生時」の「干支(かんし)」を定める時、通常の時計の時刻やなしに太陽高度の時刻で定めやんと正確やないちゅうて言〜たはりまんねん。

エッ? 「太陽高度の時刻てナンや?」ってだっか?!

簡単に言い申したら、日時計の時間だす。
つまり、冬至、春分、夏至、秋分以外の日の太陽の南中した時刻と、時計の時刻とは一致せんから補正して定めやんとあかへんちゅうて言〜たはりまんねん。

そやけど、「生年」「生月」「生日」とデジタルに来てまんのに、ナンで「生時」をアナログに定めやなあきまへんねん?!
この御仁、ホロスコープのおます西洋占星術と混同したはりまんねん。

西洋占星術は占いたい人が生まれはった時の天体の模様で占いま。
ほんで、生まれた瞬間の天体を基に、刻々と変わる天体間の角度をもって未来予知の回答の材料にしま。
つまり、アナログであり「天動説」(地球から見た天体の動きをとらえる)でんねん。

そやけど、四柱推命は1年をひと月を一日を「干支(かんし)」で区切ったデジタル式だっから、実際の地球上から見える天体の動きとは連動してまへんねん。
つまり、「地動説」でんねん。

ま〜、こ〜ゆ〜事で四柱推命の「生時」は太陽高度に合わせて時刻を定めんでもエエんやちゅうこっちゃ。
ほんで実際の人物はちゅうと、太陽高度に合わせた時刻で出と〜運気ど〜りにはなったはりまへんやん!
日時計で時刻を定めるなんて、ヘヘヘ、笑止の限りだす。

わて、平成になる前から言〜てま。
「実占で合わん理論は理論やおまへん。」ちゅうて。
ま〜、太陽高度で「生時」を云々ちゅうて言〜たはる御仁は、実占鑑定が主の占い師(?)やおまへんのんだっしゃろ〜な〜。
実占で合うんか合わんのんか、試してから理論を発表して欲しおますな〜。

上林岳承

総合開運研究学会
上林岳承

運命鑑定/プロ養成占い教室
daikando@sd5.so-net.ne.jp


プロの四柱推命『関西占い物語』

inserted by FC2 system