愛し過ぎて愛せない
2010.5.5.UP.
朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる 瀬々の網代木 （権中納言定頼）
あさぼらけ うぢのかはぎり たえだえに あらはれわたる せぜのあじろぎ
訳：夜がほのぼのと明ける頃、宇治川にかかった霧が途切れ途切れになって、その間から点々と現れ始める、川瀬川瀬の網代木よ。
「瀬」は、川の浅いところ。
「網代木」は、網代の杭。
「網代」とは、氷魚(ひお)を獲る竹や木で編んだ装置。
「網」の「代」わりに用いるさかい、「網代」ちゅうんだす。
また、氷魚ちゅうのは、鮎の稚魚でんねん。
この歌は、作者が宇治に出かけて詠まはった…。
「源氏物語」の「宇治十帖(うじじゅうじょう)」の悲恋を髣髴(ほうふつ)さすエエ歌なんだす。
エッ？
「『宇治十帖』って？」だっか？！
「宇治十帖」ちゅうんは、「源氏物語」の最後の十帖だして…。
光 源氏はんが他界しはってからのエピソード。
浮舟はん、薫はん、匂宮(におうみや)はんの悲恋が物語られてまんねん。
この「宇治十帖」の最初に…。
八の宮(源氏の弟)はんが都落ちしはって、宇治の山荘へ。
その山荘の事を…。
網代のけはひ近く、耳かしがましき川のわたり
ちゅうて書いておます。
また、薫はんが八の宮はんを訪れはって…。
八の宮はんの娘達を垣間見た、あの印象的な場面では…。
入りもてゆくままに、霧ふたがりて
ちゅうて書いておます。
こないな感じで…。
宇治ちゅうたら…。
悲恋。
網代。
霧が立ちこめる。
そないなイメージを連想させ申して…。
当時、この歌を読まはった、お人はん方は「宇治十帖」を思い出しはったちゅうこっちゃ。
それほど「源氏物語」は当時、大流行しとったんだすな〜。
ほんで「源氏物語」は、当時の歌人のバイブルでもおましたちゅうこっちゃ。
そ〜ゆ〜事で…。
この歌は、単に情景描写やの〜て…。
悲恋の事を詠んだはるんと違ゃいまっか？！
悲恋…。
悲恋…、悲恋…。
悲恋ちゅうたら…。
男女の人間関係の事で…。
「少〜し愛して、永〜く愛して」ちゅう台詞がおます。
それに対して…。
「愛し過ぎて愛せない」ちゅう台詞。
わて、この稼業しとって思うに…。
価値観を「破局がおまへん」ちゅう所に置き申すと…。
「少〜し愛して、永〜く愛して」ちゅう愛し方に軍配が上がると思いま。
だって、この愛し方…。
事なかれ主義だすモン。
ほんで、行き着く所はちゅうと「情(じょう)」。
「情(じょう)」と「I love you.」は全く違ゃいまっせ！！
「情(じょう)」は、別れたら、あの人に悪いから別れまへん。
ちゅうヤツでんがな〜。
「I love you.」は、この人といっしょに生きて行きたい！！
ちゅうヤツでんがな〜。
ま〜、世の中、別に愛しておらんでも結婚生活がでける人種がウヨウヨいたはるさかい…。
でも、わては絶対に女子(おなご)はんと「情(じょう)」では、いっしょにおれまへん！
「I love you.」でおまへんと、いっしょにおれまへん！！
しかし、「I love you.」でいっしょにおったら…。
オンリーワンで、その人を愛しと〜がゆえに、事なかれ主義ではおれんで…。
ヘヘヘ、ケンカしてまいまんねん。
「愛し過ぎて愛せない」は、それが大ゲンカになってまい…。
愛しと〜ゆえに別れとなり…。
こないなパターンの事やちゅうこっちゃ。
そやけど、そないな場合…。
別れても愛してまっせ！
オンリーワンでね！！
「情(じょう)」でいっしょにおるカップルは、その相方はんを愛してまへん！！
体裁エエ理由をつけて、自分を誤摩化して仮面をつけと〜だけだす。
どっちが幸せ？！！
例えばだっせ。
わてやったら…。
涙を涸れるほど流し申しても…。
「愛し過ぎて愛せない」人を、愛して…、愛して…、愛して…。
So Long…、愛し抜きと〜おます。
しかしここで、みなはん誤解せんといておくんなはれや〜。
「『I love you.』でいっしょにおる人とは、必ず『愛し過ぎて愛せない』で別れてまう。」ちゅうて言〜とんやおまへんで〜。
最悪になったパターンを言〜とんだっせ。
しかし、最悪のパターンに、もしなってしも〜ても…。
「情(じょう)」でいっしょにおる。
「事なかれ主義」やから、破局がおまへん。
こないな生活に、わてはナンの価値も見い出しまへん！ ちゅうこっちゃ。
この考えは、みなはんに押し付けとんやおまへん。
「情(じょう)」で生きて行ける人種もいたはりま。
その人種の方々は、それで生きて行かはる事が、その方々の幸せだす。
しかし…。
「I love you.」でしか生きて行けん人種もいてまんねん。
そないな人種のお人はんらが、「情(じょう)」で結婚を含めた男女関係を維持したはる場合。
それは不幸なんと違ゃいまっか？！
早く、気づきなはれや！！
ちゅうてまんねん。
そ〜ゆ〜こっちゃ。
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